ニューイングランド生活 第12週・第13週

(2018年に入ってから2週間以上空けてしまいました。すみません、順次アップロードしていきます)

11/13 (Mon)
 この日コルゲート大でゲストレクチャーすることになっており、前夜から頭を悩ませながら内容を練る。一応内容を固めて、朝チェックアウトした後に大学へ向かう。コルゲート大学は丘に沿ってできた、きれいなキャンパス。ただ、前夜に雪が降った影響で、あまり緑が見られないままだった。
 ゲストレクチャーは久しぶり。小規模のクラスで、意見を聞きながら進めた。でもちょっと結論のまとまりが悪かったかな・・・。少し反省。こういう機会を大事にしたいと思う。
 午後2時半ごろにゲストレクチャーを終え、少し雑談してからYさんと分かれて出発。ずっとどんよりした曇り空で、積雪の程度が各地で少しずつ違うのが興味深かった。途中すごい霧の中を運転したことで、少し帰宅が遅れる。なんとか妻のクラスには間に合って良かった。家に戻り、ビールを飲んでホッとひといき。

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11/14 (Tue)
 久しぶりに住まいの寝室で目覚める。朝、8月27日の事故の補償に関して、1カ月以上音沙汰がない保険会社へ電話。担当者の上司の名前を教えてもらい、そこに留守電を入れる。
 日中は翻訳作業、いろいろ読んだり、溜まっていたメールの返信をしたり。
 夜、妻の調子がまだ悪いようだったので、外出はせず、テイクアウトの料理を買って帰る。2017年11月14日の今日は、私が留学時に博士論文の口頭試問を終えて合格し、博士号取得と留学修了が決まった日から10年、そして妻と入籍してから8年の記念日。留学後の10年がどう展開するか、自分でも全く想像できなかった。今の私は決して自分だけの力で成り立ってきたわけではないので、ここまで歩めたことと支えてくれた多くの方々に感謝。同時に、それまでの過程で多くの恩人や親類など大事な人々が亡くなっていき、別れを経験する10年でもあったと思う。次の10年をまた有意義なものとなるよう、様々な困難を克服しながら臨みたい。

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11/15 (Wed)
 この日も終日オフィスで作業。日本から届いた郵便物に関して諸々の対応。10月から11月にかけて予想以上に出費があったことに気づき、少し反省。
 昨日電話した保険会社から反応があり、8月の事故に関する弁償の手続きが進みそうな流れに。10月に入ってから音沙汰が全くなくなったので、困っていたが、ようやく打開策が出たかと思うと少し安心。

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11/16 (Thu)
 午前にいつもどおりオフィスへ、いろいろ読みながら考える。昼にかつて日本へ来ていた大学生(知人の元教え子)と会い、次また日本へ行く機会について相談を受ける。その学生はロサンゼルスのコリアタウン出身の子で、雑談から近年のコリアタウンの変化についていろいろ教えてもらう。応募の締め切りが近いとのことで、うまくいくことを祈りたい。
 夜、シリーズの最終回となる対談イベントを聞きに行く。合衆国政治の保守派メディアの重鎮であるBill Kristolが今回の主役。早口で、でも非常にクレバーに語る方だなぁという印象。彼なりの保守の意見は十分理解しつつ、国際問題をどう見るのか、やはりアメリカ第一だなぁと感じた。ただし彼はトランプに対して批判的なのも興味深かった。対談後に参加者からの質問に答える場面があったが、どの質疑応答もやりとりは簡潔が一番と実感。質問に対するKristolの回答は毎回長すぎた。同時に、キャリアとして政界に興味を持つ学生も少なからずいることを知り、貴重な機会だった。

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11/17 (Fri)
 朝、日本にいる研究仲間とSkypeで共著論文の校正について話し合う。それを終えてから大学へ。雨模様の薄暗い空の天気。図書館が午後5時に閉まるとのことで、それに合わせて帰る。ちょっとボーっとしていて、何も進まなかった反省の1日。

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11/18 (Sat)
 前日に続き、薄暗い曇り空の日。妻の体調が改善しなかったので、一人で自転車でダウンタウンファーマーズマーケットへ。2017年最後のマーケット開催日。ここで販売している日本人の生産者に粗品を渡し、いろいろ話す。出店者はピーク時より減っていたが、野菜やワインやドーナツなど、いろいろ買えてよかった(少々大人買い)。来週以降は屋内の施設で行っているらしいので、それらも観に行こうと思う。
 帰宅して軽く昼食をとってから、溜まっていた新聞に目を通し、メモ用と廃棄用に分けていく。これらの記事を使いながら英語の授業ができれば良いのだが・・・。午後3時半から母校ケンタッキー大学とジョージア大学のフットボールの試合が全国放映されていたので観戦しながら作業していたが、結果は惨敗。残るは2試合ぐらい。今年はボウルに行けるかな・・・?
 久しぶりにテイクアウトのピザを買って食べたが美味しかった。私はビール&ピザの組み合わせが大好きだが、こちらに来てからあまりそれを食べていなかったことに気づかされた。

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11/19 (Sun)
 曇り空から少し晴れ間が見える日。午前中に新聞を読みながら2度寝してしまう。いよいよ感謝祭の時期となり、近くのスーパーに行ったら関連商品が山のように売られていた。集めていたクーポンを活用し、水やティッシュや缶詰などを買う。また週末に出かけるので、しばらく買い物は不要となりそう。
 共著論文の校正作業をPDFで終えて送稿。うまく変更が反映されると良いのだが。家でNFLを見ながら、いろいろ記事や本を読む。新聞についているパズルがなかなか興味深く、計算系のものはやりだすとちょっとハマる。クロスワードパズルを教材的に利用できないか考えてしまう。実践例はあるのかな。夕食は前日の残り物&ビール。各地でいろいろなビールを買うようにしているが、IPA(インディアペールエール)の種類でも微妙に当たり外れがあることを実感する。

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11/20 (Mon)
 朝、いつものように図書館のオフィスへ。本務校での来年度の秋学期の科目についてボチボチ考えねばならない時期となり、いろんな記事を読みつつ、日本とのメールのやりとりが続く。気づいたらもうすぐ3カ月で、心に焦りがでてきた。1日1日を大事にしないと・・・。感謝祭連休は出かけるため、この日は禁酒。朝晩が冷えるようになり、妻の送迎も車なしでは辛いだろうと思う。毎回送迎の際に会う各国の方々との短い会話が楽しい。

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11/21 (Tue)
 朝、日が射していたので、妻と久しぶりに40分ほどウォーキングに行く。長引く風邪がここで完治すれば良いのだが・・・。
 朝食後、近くの店へ散髪へ。当初行った先が閉まっていたので、大学町のダウンタウンへ移動し、以前見かけた店に入ってみる。明るくいろいろ話せる60代ぐらいの男性が手際よく切ってくれて、今までとそう変わらない感じで散髪してくれた。シャンプーシャワーなしのカットのみで15ドル&3ドルチップ。アメリカの散髪は日本より手軽な価格なのが好き(日本も随分安い店が増えてきたが、質はどうかわかりません)。
 一旦帰宅してシャワーを浴びてから、大学へ。オフィスで5時間ほど諸作業。週末の遠征のルートや、会う人とのコンタクトなどを確認する。良い形で晴れることを願いたい。夕方に帰宅して、遠征前の土産購入を兼ねた買い物のためAtkins Farmsへ。ここは地元の商品をたくさん置いている店で、PB商品販売だけで全国展開するTrader Joe'sよりも私はこちらの方がずっと好き。土産に買ったものが良い味であることを願いたい。
 夕食後、丸善出版の方と某近刊書の地図に関する校正の議論をスカイプで実施。初校、二校、三校とスカイプで議論したが、ここまで一緒に話した編集担当の方は久しぶりかも。無事に年内に出て、そして願わくばよく売れるといいなぁ。

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11/22 (Wed)
 曇り空で小雨の朝。翌日からの感謝祭連休のため、この日からペンシルバニア州の友人(先輩)一家を訪ねるため遠征。本当は朝8時半ぐらいに出るつもりだったが、準備にバタバタして午前9時15分ぐらいに出発。いつものようにI-91の高速道路に出て南下、コネチカット州ハートフォードからI-87号を西に向いて運転、コネチカット州を西進、ニューヨーク州を横断、そしてペンシルバニア州に入り、少しずつ南下・西進。途中1度休憩し、そして昼食はバーガーキングで簡単にとり、ひたすら運転する。午後3時〜4時ぐらいに着く予定と伝えてあったが、そのとおり3時半過ぎぐらいに着く。妻が持参したスマホのグーグルマップの行き先指示が便利なのが改めてよくわかった。
 ケンタッキーでの大学院時代に1年違いで親しくしていたJohn Hintzとは、隔年で私が参加していたアメリカ地理学会(AAG)でいつも顔を合わせていたが、一家の皆と会うのは実に10年ぶり。ペンシルバニア州中部の小さな州立大学であるブルームスバーグ大学の環境地理地質学科にJohnが就職して以来、彼と一家はしっかりこの地に根付いたようだった。妻のミシェルは相変わらず朗らかで、息子のライルとセオ、娘のクレアは立派に成長していた。大学院時代を終えてから10年経ったことを改めて痛感するとともに、成長した人に会うのはとても楽しいことに気づかされた。ライルもクレアも今は大学生、それぞれの道をしっかり歩んでいる様子。彼らの近況が聞けて、とても良かった。
 以前訪ねた時は市内の郊外に住んでいたが、今は市内中心部からほど近い大きな庭付きの家に移っていた。夕食はダウンタウンの店でピザを購入し持ち帰り。皆でいろいろ話しながら食事。明日の感謝祭の食事準備を手伝ったり、ビールを飲みながら語ったり、楽しい夜だった。

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11/23 (Thu)
 感謝祭の朝は前日と変わって快晴。肌寒かったが、せっかくなので市内を散策することにする。妻とともにダウンタウンを回り、そこからサスケハナ川河岸へ。さすがに祝日は人通りも少なく、擦れ違う人は犬の散歩ばかり。行き交う人々と"Happy Thanksgiving!"と挨拶しながら歩いた。サスケハナ川は浅く、ゆっくり流れる川。これは蛇行を重ねながらペンシルバニア州を横断してチェサピーク湾までたどりつくが、カヌーで辿ったら楽しいだろうなぁと思う。
 1時間ほど歩いて、再びジョン宅へ。あまり食事会用に手伝えることもなく、おしゃべりしながら時間を過ごす。キッチンではパイを焼いたり野菜の大皿料理を用意したり。オーブンではターキー(七面鳥)を焼き、外のグリルでは鶏の丸焼きをスモークでギリギリまで続ける。野菜焼きのガラストレイがオーブンから出した際に割れたのはビックリ。こんなこともあるものだ・・・。
 皆で集まっての食事会は午後4時から開始。食事の前からビールを飲みオリーブやチーズをつまんでいたこともあり、実際にはあまり食べられず。ターキーは懐かしい味。鶏肉のグリルは良かった。Johnの同僚カップルなども後から来て、皆でワイワイガヤガヤ、ボードゲームなどをしながら楽しく飲んで語る。10年ぶりの感謝祭に深謝。

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11/24 (Fri)
 前夜にたくさんいただいたので、朝はあまり空腹にならず。来年度の秋学期に共同で教えるクラスの関係で、朝10時にバックネル大学のA先生と市内のカフェで会う。とても親切な方で、話をしながらいろいろお互いを知ったり授業案を練ったりすることができて良かった。彼女は来年5月から1年日本にいるため、私は後から合流する感じ。同僚の某先生から引き継ぐクラスだが、良い形で進むことを祈りたい。
 1時間ほどの会合を終えて解散し、散歩していた妻と合流してJohn宅へ戻る。準備してここから出発。二日間お世話になり、ありがとう!
 運転はBloomsburgから田舎道沿いに南下。まずは妻が行きたがっていたアンティークの街Adamstownへ。思ったよりも下道に時間がかかり、反省。アンティークの販売品はアメリカのガレージセールで見るような一見ガラクタの品も数々ある一方、やや珍しいものもいろいろあった。私は古本を眺めつつ、Life Magazineの古い写真が載った本を購入。妻は冷たい飲料用のグラスを4つ購入。
 ここを2軒回った後に、さらに南下してランキャスターへ。ペンシルバニア州南東部のアーミッシュが多く住むことで有名な地域。アーミッシュの暮らしが紹介された博物館へ行こうとしたが、少し到着が遅かったため閉館していた。残念・・・。せっかくなので周囲を少し運転。今も馬車が見られたり、洗濯物を干している家屋があったりして、妻には初めてみるものばかりだった様子。正面から写真を撮ってはいけないため、撮ったのは農地や馬車の後方ばかりだった。
 日が暮れ暗くなるなか、ここからフィラデルフィアへひたすら運転。高速の乗り口を見誤って下道で時間がかかり過ぎたが、やがてフィラデルフィア市内に着き、手元の地図と住所の記憶を頼りに予約していた宿へ。無事に迷わず来ることができて良かった・・・。チェックインし、荷物を置いて少し休んでから、近くの店で夕食。アメリカ版食べログのYelpで1600件以上レビューがある店が近くにあったが、当然大混雑で入れず。少し歩いた先にあったアジア系の店に入り、辛めの料理をつまみながら呑んで本日は終了。

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11/25 (Sat)
 ホテルの窓が南向きで、日の出とともに起きる。ホテル1階にあるコンチネンタル朝食をとったあと、出発。まず市内中心部にあるReading Terminal Marketを見てから(想像以上に外食系が中心で、青果物などの販売はごくわずかだった)、北西方面に歩いてフィラデルフィア美術館へ。2004年のアメリカ地理学会の際にここを訪ねたが、その時は中の展示ではなく、映画『ロッキー』に出てくる階段ランニングのロケ地を見たかったからだった。もちろんその様子は変わっていなかったが、まずは真面目に館内の美術鑑賞へ。元々私は美術館巡りが苦手だが、妻と一緒になってから少しずつそれを克服してきたように思う。この回はヨーロッパ近世の風景画で良い物がいろいろあったし、植民地主義的な描写も見られたのは意義があった。ただ、展示品の数があまりにも多く、最後はややお疲れ。次回は逆に回ってみたいと思う。
 ロッキーが走った階段や向かいの公園などの写真を撮りながら、再び市内へ。遅い昼食を朝行ったマーケットで取る。どこも混雑していたが、特にチーズステーキ系の店は長蛇の列だった。
 昼食後、市内を東へ。有名な独立記念関連の施設で情報を集め、古い建物が残っている地区まで歩く。窓の位置が建物によって異なるので、時代の違いがよくわかる。以前来た時はこのあたりを歩かなかったので、新たな発見が多かった。小さな店も多く、一杯飲んで行きたくなる。Penn Landingまで来て、デラウェア川を臨み、少し写真を撮ったぐらいで日が暮れてきたので、このあたりでホテルに戻る。途中、独立宣言時に鳴ったとの説がある「自由の鐘(Liberty Bell)」を見かけて、屋外から写真を撮ったり。フィラデルフィアは街がコンパクトで歩きやすいことがよくわかった。
 昨日覗いた店は今日も大混雑。そのため、今夜はギリシャ系の店で夕食。量は多くなかったが、ピタパンや蛸の料理が美味しかった。

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11/26 (Sun)
 この日も快晴。我々の現在の住まいは寝室が北西向きのため光が入りにくく、京都の家も東向きだが日光が入りにくい作りのため、朝普通に光が入るのが嬉しい。
 朝食をとり、荷物を車に納めてチェックアウトしてから、前日に続き街歩き。独立記念関係の国立施設を観に行く。合衆国独立の詳細は私もまだ理解が不十分な点が多いが、展示を読み学ぶことも多かった。1800年頃まで使っていた旧議会の建物も良かったし、前日外からみた自由の鐘も近くでみると迫力があった。
 ここから南に歩き、サウスストリートへ。数日前にライルが教えてくれたフィリーチーズステーキ(フィラデルフィア名物のサンドイッチ)の店へ行く。タッチパネルで直接注文する初めてみるシステム。妻と話しながら待ち、できたものをいただいたが、旨い!30cmぐらいのパンのサイズでも、あっという間に食べてしまう。いやー、これはハマる!本当に美味しかった、また来たいな・・・。
 昼食後、妻の希望で市内の「アンティーク通り」を歩いたが、残念ながらあまり店がなかった。たまたま入った店でいろいろ教えてもらった話によれば、19世紀〜20世紀初頭までアンティーク店を経営していた店主の子ども世代の多くが店を継がず、店舗の土地が売られていき、今ではアンティーク店を経営しているのは5−6軒程度とのこと。そういう店主は、大学で美術史を25年教えた後に引退して、新たに店を始めたらしい。こういうキャリアも良いなぁと思う。話が盛り上がったこともあり、勢いで壁にかける小さな絵を2つ買ってしまった・・・。
 ホテルに戻り、車を出して出発。フィラデルフィアからデラウェア川を渡ってニュージャージー州へ。有料の州間高速道路(I-95)へ行き、そこから北上する道も、案内がわかりやすく迷わず来られた。また、連休最終日の日曜が良かったのか、有料道路はずっと空いていてスムーズに進む。ただ、ハドソン川を渡ってニューヨーク側に行くジョージワシントン橋の少し前から大渋滞、1時間半〜2時間近くここに捕まってしまう(涙)。なんとかここを抜けて、95号に沿ってニューヨーク州を北東へ進み、コネチカット州に入ってからニューヘブンで91号に移って北上。後半は少しのトイレ休憩だけで一気に進み、夜9時40分ぐらいに帰宅。渋滞がなければ8時前後に着けたよなぁと思いつつ、無事に戻ったことに安心。充実した連休旅行でした。